クレル・マダムのひとりごと

珍しく同じ洋梨のムースを使って二種の仕立てにしていたシェフ。
一つはタルトに…もう一つは玉子風味の生地を使ったスタイルで…

せっかくなのでいつも親子様(母娘様)でディナーにお越しいただくH様に「どちらの仕立て方がお好きですか?」と問題を投げかけ二種を一緒にお出ししてみました。








お帰りの際にどちらも美味しい!!と言って下さいましたが お好みとしては生地を使った仕上げの方!!とのお言葉。ちらっとシェフを見ると"思惑通り!!"と言わんばかりにニヤリとした瞬間を私は見逃しませんでしたが後でシェフに真相を尋ねると…

「タルトの仕上げはオーソドックスですからありがちと言えばありがちですから食べ慣れた味わい。生地仕上げの方はバターも卵もふんだんに使ってますから風味が違いますし逆に洋梨のムースがそれを引き立ててくれるので生地にも必要以上にリキュールは使わないようにしています。ムースを食べるためにタルトにしているのと、生地を楽しんでいただくためのムースではまったく同じものでもバランスが変わるだけで違う発想のデザートになるはずなので今回は生地を使った方がイイ!!と言ってもらわないと困ってしまうところでしたけど」と。

ふーん!!そういうことだったのね…一緒のご用意をしたことなんて今まで無かったのでそれぞれの良さで理解していましたしタルトタタンが始まるまでの繋ぎのような登場の仕方で一瞬にして終わってしまう印象。 "お菓子は苦手デス"という田島シェフの意外な想いを聞いたような気がしました。

無口なイメージですが変な事はよくしゃべる田島シェフ。料理のこともこちらからしつこく聞かないとまず語ることの無いタイプですが…どうやら顔には出しませんが想いはいろいろ強い方なのかもしれません。

長く一緒にやってますが…やっぱりいつまでたっても分かりにくいベールに包まれている謎シェフです。